「起業の天才!江副浩正 8兆円企業リクルートをつくった男」を読んだ話

“江副浩正”という人
ずっと読みたいと思い、Kindleでダウンロードしていた「起業の天才!」。
中々のボリュームだったので『時間がある時に...』と言い訳してあたためていたが、今週やっと完読。
この本は、リクルートという企業と、その創業者である江副氏の人物像が丁寧に描かれている一冊だ。この本を通して、江副浩正はどういう人間だったのか、リクルート事件とは何だったのかを深く知ることができた。
本は、読み始めると一気に読み進められた。
ソフトバンクの講演動画の時と同じく、また降りる駅を通過してしまった。それほどに引き込まれる内容だった。
リクルート事件
江副氏と切っても切り離せないのがリクルート事件だ。
この事件によって、当時の竹下登内閣が総辞職に追い込まれたり、社会党が躍進するきっかけとなったり、その規模と影響力から、日本の政治史上でも重要な事件となったのは有名な話だろう。
そんな大規模な汚職事件を、本書を読むことで少し別の角度から見ることができ、リクルート事件とは一体何だったのかを改めて考察するきっかけを与えてくれた。
「自ら機会を創り出し、機会によって自らを変えよ」
本書では、事件後に抱えた1兆8000億円の借金を独力で返済し、リクルートという会社が時価総額で日本10位までのぼり詰めたくだりにもしっかり触れてくれている。この快進撃は、リクルートの「自ら機会を創り出し、機会によって自らを変えよ」の言葉通り、江副氏の思想を理解する人材が懸命に働き、企業を復活・成長させたことで成し遂げられたものである。
この快進撃に関しては、時代や業種・職種に関係なく読んでいて学びがある部分だと感じた。
(借金1兆円を10年で返した リクルートの現場力 というタイトルで、この部分にフォーカスした書籍も出版されている)
江副氏の慧眼
まだITが浸透していない当時、江副氏は既にインターネット広告やAWSのような構想をしていた。
リクルート事件当時に大きな影響力を持っていたマスコミについても、江副氏は何れ低迷することを予見していた。
ITが進んだ今の時代に江副氏が生きていたらリクルートはどれほどの企業になっていたのだろう。
日本にどんな影響を与えてくれていただろう。
最後のスキー
本書は、自伝ではなく他者からみた“江副浩正”が描かれている点が面白かった。第三者である著者が様々な角度からリクルートや江副氏のことが語られていたことで、江副氏の魅力がストンと心に入ってきてくれて、ファンになった人も沢山いるだろう。
そして、内容もさることながら、この本を魅力的に感じたのは、文章から当時の情景がイメージできるシーンが沢山あったからだ。
まるで映画を見ているようだった。
江副氏の最期が描かれているシーンでは涙が出た。
ビジネスの天才も人間なのだ。あっけない...という表現は不適切かもしれない。でもそういう最期だった。心が締め付けられた。
価値のある一冊
こういった書籍は、人によっては「年よりの武勇伝だ」と一蹴するかもしれない。
でも、慢性的なデフレに絶望し、閉塞的で窮屈な現代社会で働く若い世代や、表層的な情報によって江副氏をリクルート事件の主犯格と認識している人には、是非読んでみて欲しい。
少なくとも、私にとっては「読んでよかった」と思える価値のある一冊だった。